大判例

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秋田地方裁判所 平成6年(行ウ)3号・平7年(行ウ)8号 判決

平成六年(行ウ)第三号事件原告・平成七年(行ウ)第八号原告

荻原麟次郎(X1)

米塚亜津子(X2)

原告ら訴訟代理人弁護士

沼田敏明

菊地修

狩野節子

平成六年(行ウ)第三号事件被告

建設大臣(Y1) 中尾栄一

平成七年(行ウ)第八号事件被告

秋田県収用委員会(Y2)

右代表者会長

豊口祐一

被告ら指定代理人

布村重成

黒津英明

及川正宏

安宅敏也

関谷久

泉利夫

大矢一夫

平成六年(行ウ)第三号事件被告指定代理人

加藤秀生

松下雄介

松島竜生

倉田和幸

高橋正史

周藤重吉

吉田治智

平成七年(行ウ)第八号事件被告指定代理人

堀井達男

高橋訓之

田村修平

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  事業認定の要件について

土地収用制度の土地の収用又は使用に関する根拠規定の法二条は、「公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。」旨規定し、その要件は法二〇条一号ないし四号において具体的に規定され、当該事業が右各号の要件を充足する場合に、土地の収用又は使用が可能となる。

したがって、本件事業認定が適法であるためには、当該事業が右各号の要件を充足しなければならない。

本件において問題とされているのは、法二〇条三号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。」と同条四号の「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。」の各要件である。

土地収用制度が公共の利益となる事業のために必要とされる土地を強制的に取得する制度であるから、事の性質上、法二〇条三号の要件の判断にあたっては、「起業地が当該事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益」と「起業地が当該事業の用に供されることによって失われる私的ないし公共の利益」との双方の比較衡量が必要であり、事業計画の内容、当該事業によってもたらされるべき公共の利益、起業地の現在の利用状況、及び起業地の有する私的ないし公共的価値等を総合して考慮した結果、「得られるべき公共の利益」が「失われる私的ないし公共の利益」を優越する場合に、当該事業が同条三号の要件を充足しているといえるし、さらに、当該事業において、収用又は使用という取得手続をとることの必要性があり、公益目的に合致する場合に、同条四号の要件を充足していることになる。

そして、右各号所定の要件の文言が概括的、抽象的に表現されていること、諸要素、諸価値の比較衡量等は政策的、専門技術的な判断を伴うものであること、及び同条柱書は事業認定庁に裁量権を与える表現になっていることからすれば、事業認定庁における右各号の要件の判断は、一定の裁量が認められているものというべきである。

二  争点1について

1  代替案検討の法的義務について

代替案との比較検討という方法は、法二〇条三号、四号の要件の判断にあたって、前記の比較衡量等の判断に関し価値評価の客観的尺度基準を見出し難いところから、起業地のみについての利益衡量の方法よりは対象予定地として起業地の周辺にまで拡げて比較検討することのほうがより合理的であるとの理由から生じているものである。しかしなから、代替案との比較検討は、事案の個別性を問わずに常に必要不可欠な検討作業であるとまではいえないし、土地収用法その他の関係法令には、起業者に代替案の提示を義務づけるような規定や事業認定庁自らが代替案を設定し検討すべきことを義務づける規定は存在しないことからして、事業認定庁において代替案の検討を必ず行わなければならないという法的義務はない。

したがって、被告建設大臣が本件ルートと前ルートとの比較検討を行わなかったことをもって直ちに本件事業認定を違法とすることはできない。

2  代替ルートとの比較の不検討が裁量権の逸脱、濫用になるか。

代替案との比較検討の意義が前記のとおりであるから、この比較検討は事業計画の合理性を審査するうえで極めて有効な方法であり、事業認定の実務においても、事業認定庁が代替案との比較検討を原則としてなすべき旨の指導が行われており、実際にも、原則は代替案との比較検討が行われていること(証人髙橋広幸の証言及び乙第五号証「昭和六三年八月三〇日建設省経収発第一四一号の二建設省建設経済局長による認定庁あての「土地収用制度の活用について」と題する通達が存在し、同通達三「審査の簡素化について」(1)「都市計画施設に関する簡素化」の項によると、都市計画決定されている道路等については、都市計画決定時から長期間経過し、事情が変化している場合等を除き、公共性、土地利用の合理性等が明らかであるときは代替案(ルート比較等)の資料を要しないものとすること、この場合には、土地利用の合理性については、当該ルート選定の考え方、具体の経過地の状況に関する記載、資料等をもとに判断することとされており、その反面解釈として、原則は代替案との比較検討を必要としていることが理解できる。」)、及び路線設定が複数考えられる道路建設事業の性質に照らすと、とりわけ道路建設事業においては、事案によって具体的に代替ルートとの比較検討をしていないこと自体が、事業認定庁の判断に裁量権の逸脱、濫用ありとされる場合もあろうと考える。これを被告建設大臣が前ルートとの比較検討を行っていない本件事業認定についてみると、日本道路公団の事業認定申請書(〔証拠略〕)には前ルートを含めて代替ルートの資料が添付されていないものの、前記第二の二記載の経緯に照らすと、少なくとも被告建設大臣は当該地域におけるかつての行政上の指針である前ルートの存在をさほど困難なく知りうる状況にあったものということかできる。

他面、前記建設省経収発第一四一号の通達によれば、都市計画決定されている道路等については代替ルートの資料を求める必要はなく、結果、代替ルートとの比較検討を省略できるとされており、これは都市計画施設としての道路のルートはその合理性について既に合理的かつ実質的な検討が行われているとの理由から出ているものであるところ、本件高速道路のルートは秋田県告示三〇四号で都市計画決定された外環状道路のルートと整合性があり(乙九号証)、その道路の規格(外環状道路は、幅員二二メートル、自動車専用道路であり、本件高速道路は、幅員標準二三・五メートル、高速自動車国道である。)においてもかけ離れたものではないから(〔証拠略〕)、本件高速道路か都市計画施設そのものでなくとも、都市計画決定時から長期間経過して地域の事情が変化しているものとは認められない本件では、本件事業認定において具体的な代替ルートとの比較検討を省略した措置は、実質的には前記通達の趣旨に適った措置ということができる。

右の事情のほかに、前ルートは一度は行政上の指針として計画された道路ルートではあるものの、確定的、具体的なものではなく、当該地域において路線通過地が広く認識されていたものでもないことに照らすと、被告建設大臣が本件ルートと前ルートとの比較検討を行わなかったことをもって、被告建設大臣の事業認定の判断において、裁量権の逸脱、濫用かあったとはいえない。

三  争点2について

1  環境影響評価実施の法的義務について

土地収用法その他の関係法令上、事業認定の際に起業者等に対して環境影響評価を行うことを義務づける規定は存在しないことから、環境影響評価の実施は事業認定を行うための法的義務ないし要件であるということはできない。

2  環境影響評価の実施についての裁量権の逸脱、濫用について

事業認定において、環境影響評価の実施が法的義務ではないとしても、当該事業内容か道路建設事業でそのルートが集落等又はその付近を通過する場合に、とりわけ、それが相当規模の道路であるときは、生活環境等に継続的に何らかの影響を及ぼすことは避けられず、法二〇条三号の要件の判断における比較衡量の対象である「得られるべき公共の利益」の減殺事由としての要因の発生が予想されるから、環境影響評価を実施することは、当該事業計画の合理性を判断するうえで重要な手段である。また、事業認定の実務においても、昭和五九年八月二八日の「環境影響評価の実施について」の閣議決定に記された環境影響評価実施要綱に基づいて昭和六〇年四月一日付け建設省経環発第一〇号「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について」と題する通達を建設事務次官から地方建設局長等の事業者宛に発し、同通達の別記「建設省所管事業に係る環境影響評価実施要綱」を定めているところ、これによると、高速自動車国道を新設する場合には環境影響評価を実施すべきものとし、環境影響評価に関する手続は、一定の時期までに対象事業の実施が環境に及ぼす影響について、一定の技術指針に従って、調査、予測及び評価を行い、かかる調査内容その他の事項を記載した環境影響評価準備書を作成し、事業者は右準備書を関係地域を管轄する都道府県知事及び同市町村長に送付し、右関係地方公共団体において右準備書を縦覧に供し、右縦覧期間内に関係地域内においてその住民に対して説明会を開催するなど周知に務め、更に右住民の意見の把握に努め、関係都道府県知事による公害の防止及び自然環境保全の見地からの意見を求め、その後環境影響評価書を作成し、これを関係地方公共団体において公告、縦覧すること等の手続を定めているところである(〔証拠略〕)。

もっとも、前記のとおり法二〇条三号の要件の判断にあたっては、事業認定庁に一定の裁量が認められているうえ、環境保全の対策は事業認定後の事後的措置によっても目的を達成することができる場合もある。

したがって、環境影響評価の実施の有無に関して、事業認定庁の判断に裁量権の逸脱、濫用があるかないかは、これを実施した場合にはその内容、実施しなかった場合にはその理由等、その他諸般の事情を考慮して判断すべき性質のものである。

3  本件事業認定における諸事情(次の事実は、〔証拠略〕によって認められる。)

(一)  本件高速道路と都市計画決定された外環状道路との近似性都市計画決定された外環状道路と本件高速道路との異同をみるに、そのルートは整合性があり、その他の要素については、前者は、自動車専用道路で、区間秋田市御所野から昭和町まで、延長距離二六・二キロメートル、道路幅二二メートル、車線数四であり、本件高速道路は、高速自動車国道で、区間秋田市上北手古野地内から同市上新城道川地内まで、延長距離一六・〇八七キロメートル、道路幅切土部分二七・五メートル、盛土部分二三・五メートル、橋梁部分二二メートル、車線数四であるから、右外環状道路と本件高速道路とは近似性がある。

(二)  本件事業認定における環境調査の実施状況

本件事業認定においては、その申請の段階において、環境影響評価の準備書の作成、公告、縦覧、関係住民からの意見聴取等の手続、及び環境影響評価書の公告、縦覧等の前記通達に則った手続は執られていない。

しかしながら、都市計画段階である昭和六〇年一〇月には秋田県が秋田外環状道路に関する評価報告書を作成し、その後、昭和六三年三月に東北地方建設局が外環状道路の一部を高速道路と位置づけて検討書を作成していることは前記のとおりである。

また、都市計画の際に、大気汚染、騒音、振動、地盤沈下等についての環境影響評価の骨子を四頁にわたって記載した「外環状道路及びアクセス道路が環境に与える影響について」と題する書面を縦覧に供している。

(三)  評価報告書及び検討書の内容について

(1) 予測の対象時期及び予測交通量について

原告らは、評価報告書及び検討書に予測の対象時期の記載がなく、昭和六〇年を対象時期としたものと考えるよりほかなく、予測交通量の根拠も明らかでないと主張する。

しかし、予測の対象時期については、評価報告書に「予測の対象時期は昭和七五年である」との記載があり、また、検討書もその内容を評価報告書と対比すれば、予測の対象時期は昭和七五年であることは明らかであり、予測交通量については、評価報告書及び検討書のいずれも、全国道路交通情勢調査(道路交通センサス)結果に基づいて、将来の交通量の増大を考慮して、予測の対象時期における日交通量が推計されている。

(2) 騒音予測の予測式について

原告らは、騒音予測については、予測式が誤っているため、予測値が本来の予測式で算出した場合よりも低く算出されていると主張する。騒音予測については、「建設省所管ダム・放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」と題する通達(昭和六〇年九月二六日建設省技調発第五一六号、改正平成六年二月一〇日建設省技調発第一七号)では、道路交通騒音の環境影響評価は、自動車交通騒音の中央値が環境保全目標以下であるかどうかにより判定されるものであり、右中央値は一台の車から発生する平均パワーレベルから当該交通量、音源までの距離、車種混入の比率等の種々の数値に基づき計算された一定数値(騒音の減衰効果を表す数値と思料される。)を減じて算出され、右の平均パワーレベルの算出方法は、87+0.2×平均走行速度(km/時)+10log10(小型車混入率+10×大型車混入率)という計算式(以下「計算式1」という。)によると定められている。これに対し、評価報告書及び検討書では、86+0.2×平均走行速度+10log10(小型車混入率+5×大型車混入率)という前記通達とは異なる算出式(以下「算出式2」という。)を用いている。

ところで、自動車騒音の許容限度の規制強化は、昭和五一年六月中央公害対策審議会の答申「自動車騒音の許容限度の長期的設定方策について」に沿い、目標値を二段階に分けて規制強化が図られてきたところであり、その第一段階目標値については、昭和五四年規制として告示され、第二段階目標値についても、昭和六二年規制により実施することが確定している。環境影響評価に用いる平均パワーレベルの予測式についても、前記通達では、予測式の記載の後に「自動車構造の改善による騒音の低減について、昭和五一年六月中央公害対策審議会の答申『自動車騒音の許容限度の長期的設定方策について』による」と記載され、自動車構造の技術開発等による改善による騒音の低減を考慮するものとされ、環境影響評価においても、右の騒音の規制段階ごとの騒音予測式が用いられている。そして、算出式1は昭和四六年規制に適合したことを前提とした予測式であるのに対し、算出式2は昭和六二年規制に適合したことを前提とした予測式である。

したがって、評価報告書及び検討書において、自動車構造の改善による騒音の低減を考慮し、昭和七五年の予測時期の時点では昭和六二年規制が達成されているとして、これに適合した算出式2を用いて予測対象年次に相当した平均パワーレベルを算出したことに誤りはない。

なお、評価報告書及び検討書では、騒音・振動について、予測結果が測定結果を下回っている測定場所・時間帯がいくつかあるが(〔証拠略〕)、道路の環境影響評価に係る予測結果は、予測式を用いて他の条件(自動車交通以外の騒音・振動等)を捨象して自動車交通のみの騒音・振動を予測するものであって、道路周辺の騒音・振動を含めた地域全体の騒音・振動を予測するものではなく、騒音・振動の実測地点が既存の道路や住家等の近傍であることをも考慮すると、現況値が将来の自動車交通による騒音・振動の予測結果を上回るからといって、ただちに予測結果が正確でないとまでいうことはできない。

(3) 騒音の予測地点について

原告は、「道路に面する地域」の騒音か予測されるべきであるのに、評価報告書及び検討書では、道路端から二〇メートル以上も離れた地点での騒音を予測しているため、騒音予測結果が低く算定されていると主張する。

評価報告書及び検討書では、上北手大山田では道路端から二二・五メートル、添川地区では二四メートル離れた地点を騒音の予測地点としている。

ところで、建設省所管道路事業環境影響評価技術指針によると、騒音の現地調査の方法は、昭和四六年五月二五日閣議決定の「騒音に係る環境基準について」に定める測定方法を基本として実施すると定められている。「騒音に係る環境基準について」では、「測定は屋外で行なうものとし、その測定地点としては、なるべく当該地域の騒音を代表すると思われる地点または騒音に係る問題を生じ易い地点を選ぶものとする。この場合道路に面する地域については、原則として道路に面し、かつ住居、病院、学校等の用に供されている建物から道路側一メートルの地点とする。ただし、建物が歩道を有していない場合に道路端において測定する。」と定められ、既存の道路において、騒音について問題が生じることが多い建物を基準にして、その周辺部分を測定場所とするものである。これに対し、環境影響評価は、将来道路を新設するにあたって行なわれるものであるから、環境影響評価の騒音予測において、右基準に定める測定方法を基本として実施するといっても、これをそのまま予測地点の選定にあてはめることはできない。

そこで、環境影響評価においては、一般に路肩ではなく、道路敷地と民間用地との境界を予測地点とすることが行なわれているが、右境界付近は、将来、道路が完成したときには、当該道路に面する地域における騒音が問題となりうることが予想される場所とみることができ、前記基準で定めた「測定場所」にも合致した場所ということができるから、合理的な予測地点の選定であるということができる。

そして、評価報告書作成の時点において、添川地区及び上北手大山田における道路構造が盛土構造で、その法面があることを考慮すると、添川地区及び上北手大山田における測定地点か道路敷地と民間用地の境界付近に設定されたものと見ることもできるから、予測地点が騒音点から約二〇メートル以上離れていたからといって、右予測地点が「道路に面する地域」の予測地点として不合理であるということはできない。

(4) 騒音及び振動の予測評価について

原告は、添川地区の騒音の予測評価は、A地域の環境保全目標値を基準として行なわれるべきであって、B地域の環境保全目標値を基準とすべきではないと主張する。

騒音の評価は、予測結果を環境保全目標に照らして行われるが、その場合、主として住居の用に供されている地域たるA地域及び相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供されている地域をB地域とし、二つの類型別に異なる環境保全目標値を定めている。右の両類型の振分けを行う場合には、原則として都市計画法上の用途地域に準拠して行なわれるものであるが、かかる指定がない地域に対しても、地域の類型のあてはめを妨げるものではなく、当該地域の自然的条件及び土地利用等の動向を勘案し、用途地域の定められている地域の状況を参考にしつつ、右類型へのあてはめを行うのが相当である。

添川地区は、相当数の住居(集落)とともに農業の営まれている区域であり、都市計画法上の用途地域の指定がされていないこと、騒音規制法に基づく秋田県知事が指定する騒音規制区域外であることにかんがみると、A地域の類型に当たるとまではいえないから、B地域の類型にあてはめたことをもって、ただちに不合理であるとはいえない。

また、原告は、添川地区の振動の予測評価は、第二種区域の道路交通振動限度値でなく、第二種のそれを目標値として評価されるべきであると主張する。振動の予測評価は、予測結果を第一種及び第二種住居専用地域、住宅地域たる第一種区域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域たる第二種区域の二段階の道路交通振動限度値に照らして行われ、評価報告書及び検討書では、第二種区域の道路交通振動限度値を目標値として評価しているが、騒音の場合と同様の理由から、第二種区域に係る道路交通振動限度値を目標値としたことをもって不合理であるとはいえない。

(5) 検討書が添川地区を盛土構造としていることについて

本件事業では、添川地区は橋梁構造とされているのに、検討書では、盛土構造として予測値が算出されているが、盛土構造と橋梁構造とで、予測評価に影響を及ぼすような予測結果の差異が生じるとは、ただちにいえないから、このことから検討書の予測値が不正確であるとか、誤っているということはできない。

(6) 時間交通量及び車種混入率について

原告らは、検討書において、予測に用いる車種別時間交通量の算定に必要な時間変動係数及び車種混入率について、評価報告書の設定値をそのまま用い、意図的に予測値を低くしていると主張するが、予測に用いる車種別時間交通量の算定に必要な時間変動係数及び車種混入率は、性質上過去のデータから算出せざるを得ないものであるところ、評価報告書及び検討書における時間変動係数及び車種混入率は、いずれも「昭和五八年全国道路交通情勢調査」を基に「上北手猿田」及び「下新城中野」地点の観測結果としたものであり、基礎となる資料が同一であれば時間変動係数及び車種混入率が同一の数値になるのは当然のことであって、昭和六〇年の評価報告書及び昭和六三年の検討宙に用いられた数値として不合理であるということはできない。

(7) 予測に用いる平均走行速度について

原告は、本件高速道路の設計速度が一〇〇キロメートルであるのに、評価報告書及び検討書において、予測に用いる平均走行速度について、「小型車」が時速一〇〇キロメートル、「大型車」を時速八〇キロメートルとしていることが不合理であると主張する。

しかしながら、道路交通施行令に定められた高速自動車国道を通行する場合の最高速度は、大型乗用自動車及び普通自動車を時速一〇〇キロメートル、それ以外を時速八〇キロメートルとして定められているから、車種を問わず予測に用いる平均走行速度を一〇〇キロメートルとしなければならない理由はない。

もっとも、予測における「大型車」と「小型車」の分類は、予測に用いる車種構成を近接する現況の道路の交通量調査に基づいて設定しているため、運輸省令で定められた自動車登録番号(いわゆるナンバープレートに記載されたナンバー)のうちの自動車の種別及び用途による分類番号項目に従い、貨物の運送の用に供する普通自動車、人の運送の用に供する乗車定員一一人以上の自動車及び大型特殊自動車等を「大型車」とし、その他の自動車を「小型車」としているから、右の分類は、道路交通施行令の最高速度における車種別区分とは対応していない。そのため、貨物の運送の用に供する普通自動車、人の運送の用に供する乗車定員一一人以上の自動車については、高速自動車国道の法定速度は時速一〇〇キロメートルであるのに、環境影響評価の予測では平均走行速度として時速八〇キロメートルを用いることになるが、予測に用いる車種分類を右のように「大型車」「小型車」の二車種分類を用い、大型車について平均走行速度を時速八〇キロメートルとすることは、一般的な環境影響評価の方法であるから、これをもってただちに不合理であるということはできない。

(8) 以上を総合すると、評価書報告書及び検討書における調査、予測、評価の内容に不合理なところはない。

4  以上の事情を基に考えると、本件事業認定の申請段階では環境影響評価は行われていないが、本件高速道路と近似した都市計画決定された外環状道路について評価報告書が作成され、かつ、秋田市上新城道川までの外環状道路を高速道路と位置づけたうえでの検討書が作成されており、その内容において合理性が保持されており、その後の年月の経過による地域環境の変化もさほど認められないのであるから、本件事業認定においては、環境影響評価が行われたものとほぼ同一視できるものである。

したがって、環境影響評価に関して、被告建設大臣の事業認定の判断に裁量権の逸脱、濫用があったとはいえない。

四  争点3について

1  本件事業計画の内容(次の事実は、乙第一号証、証人髙橋広幸の証言及び弁論の全趣旨によって認められる。)

(一)  本件事業は、東北縦断自動車道遠野秋田線の一部をなす秋田南インターチェンジから秋田北インターチェンジまでの延長一六・〇八七キロメートルの区間の新設工事及びこれに伴う附帯工事並びに本体事業と同時に施工することが必要かつ適当とされる県道、市道、農業用道路及び農業用水路の付替工事である。

(二)  設計にあたっては、池の道路との交差はすべて立体交差とし、車線は四車線をもって構成し、上下線は中央帯で分離し、道路構造令第一種第二級の規格により計画施行するものである。設計速度は、一〇〇キロメートル毎時として整備計画で定められ、右規格に対応するため、最急縦断勾配を三パーセント以下にし、最小曲線半径を四六〇メートル以上にする等の道路構造令上の構造条件を満たしている。本件高速道路は、トンネル、橋梁、長大切土盛土等の経済的に不利な構造になる山間部を避けて、山裾を通り、切土工事により発生した土量を効率的に盛土工事に使用するように計画されている。さらに、走行の安全性と快適性の確保のため、各インターチェンジ間を、家屋連たん地区等を避けながら、極力なめらかな線形になるように計画されている。

また、本件工事に係るインターチェンジの位置は、同整備計画で定められた連結予定施設である県道和田秋田線との調整を図り、太平地区の家屋連たん地区を避けて、熊野神社及び松崎大堤等の公共施設の位置を考慮した上、移転を要する支障物件の少ない下北手寒川地区の田園の平坦地に設置することとされている。

(三)  本件高速道路の路線の経過地は、次のとおりである。

秋田南インターチェンジから秋田中央インターチェンジまでは、一般国道一三号を橋梁構造で通過し、上北手古野地区の集落、一般河川猿田川、中山神社、北手神社、猿田沢前溜池、坊谷溜池、猿田沢大堤、東北電力の送電線、赤平堤、下北手通沢地区及び下北手柳館地区の集落を避けながら北進し、寒川地区に入り、その平野部に設置予定の秋田中央インターチェンジに至る。

本件ルートについてみると、秋田中央インターチェンジから、さらに丘陵部を北進し、松崎大堤及び土砂崩壊防備保安林を避けながら盛土構造で北進する。盛土構造を経て、柳田集落を避けながら、大平八田地区の荒巻集落を橋梁構造で通過し、一級河川太平川、一級河川八田川及び県道秋田岩見船岡線を横断して北西に進み、土砂崩壊防備保安林を避けながら秋田市柳田字扇ノ沢地内の丘陵部に設置予定の大平山パーキングエリアに至っている。大平山パーキングエリアからの路線は、切土盛土構造で北西に進み、社会福祉施設明成園を避けて橋梁構造でさらに北西に進みも一級河川旭川、県道秋田八郎潟線、県道秋田昭和線及び添川地区集落の北西端及び濁川地区の北東端を橋梁構造で通過し、東北電力添川開閉所を避けながら一尾根を越え、その後切土、盛土構造で北進し、外旭川地区及び外旭川・上新城地区の農地地域を避けて丘陵地を進み、秋田北インターチェンジに至るものである。

2  本件事業計画によって得られる公共の利益(次の事実は〔証拠略〕によって認められる。)

本件事業は、地域産業の立地振興や国民生活領域の拡大等を図るために全国的に形成される高速自動車交通網の一環として建設されるものである。

秋田市は、人口三〇万人を擁し、昭和四〇年に新産業都市の指定を受けてからは、工業の基盤整備が進められ、秋田湾沿岸に秋田湾臨海工業地帯が開け、テクノポリス地域指定やポートルネッサンス21が進められている。また、秋田県の農林業では、稲作や秋田杉の生産に力を入れ、全国各地に流通が図られ、また、秋田県の自動車保有台数も平成元年三月から平成四年にかけて一二パーセント増加するなど、年々自動車輸送需要が増加している。

現在秋田市の地域内及び地域外を結ぶ幹線道路としては、国道七号線(基点新潟県新潟市、終点青森県青森市)及び国道一三号線(基点福島県福島市、終点秋田県秋田市)があるが、右各道路は四車線で市街地を通過しているため、各所で交通混雑が生じている。なお、本件事業認定に係る高速道路は、都市計画決定においては、秋田市内の渋滞緩和の一方策として考えられていた外環状道路として位置づけられていたものであり、平成元年に高速道路として整備することとされたものである。

東北縦断自動車道遠野秋田線の他の区間については、平成六年六月二七日の本件事業認定申請時点において、横手インターチェンジから秋田南インターチェンジ間が平成三年に供用され、北上インジェクションから和賀インターチェンジ間か平成六年度、湯田インターチェンジから横手インターチェンジ間が平成七年度、和賀インターチェンジから湯田インターチェンジ間が平成九年度にそれぞれ完成する予定である。さらに、当区間の延伸部分となる秋田北インターチェンジから昭和インターチェンジ間は、建設大臣施行事業の外環状道路として既に用地買収も完了し、工事が進められている。

したがって、本件事業認定区間が完成すれば、秋田県が全国高速道路網に組み込まれることになり、走行経費の節減、輸送時間の短縮等の直接効果のみならず、流通機構の改善合理化、宅配供給圏の拡大及び工場立地条件の改善等の間接効果も期待できるとともに、副次的には一般国道七号線及び一般国道一三号線の交通混雑の緩和も期待でき、沿線各市町村を短時間で連絡することとなるので、自動車輸送が改善され、近時発展傾向にある秋田市及びその周辺地域の開発に貢献することができると見込まれる。

したがって、本件事業によって得られる公共の利益は大きいものということができる。

3  路線比較

(一)  事業認定庁が法二〇条三号の「土地の適正且つ合理的な利用に寄与する」かどうかの判断を行うにあたって、審査過程において、必ず代替ルートとの比較検討を行わなければならないとする法的義務までないことは前記のとおりであるが、想定し得る他のルートとの比較検討は事業計画の合理性を審査するうえで有効な方法であるから、事業認定の違法性を争う裁判において、事業計画の合理性判断の一資料として、想定し得る他のルートとの比較検討を行うことができるものと解するのが相当である。

ところで、高速道路の具体的な路線経過地は、整備計画との整合性を図りつつ、自然的条件又は社会的条件ゆえに極力避けるべき地点(コントロールポイント)を考慮した平面線形及び縦断線形の組合せから決定されるべきものであるところ、原告が本件ルートと比較検討を行っている前ルートは、「第三次秋田市総合都市計画」内の「骨格道路網・骨格的歩行者自転車空間ネットワーク図」及び「基本計画図」と「第五次秋田市の現状と将来の展望」内の「道路交通体系整備図」に記載されたものであるが、右図面の縮尺か八万分の一であり、ルートの幅が図面上で二ミリもあり、精度が粗いうえ、具体的な路線検討が行われたことがなく、コントロールポイントによってその経過地も特定されていないものであるため、右図面上の前ルートは、本件ルートとの比較検討を具体的に行うには十分な情報を備えていない。

しかし、前ルート自体は、策定委員会によって本件高速道路の前身である外環状道路の路線案として考えられたという経緯があり、しかも、被告において、右基本計画図に基づいて、原告らの主張及び日本道路公団においてとったコントロールポイントを考慮したうえでルーテイングを行ない、前ルートの経過地を想定した別紙図面三を作成しているので、これを想定し得るルート(以下「想定ルート」という。)として、これと本件ルートとを比較検討することとする。

(二)  想定ルートとの比較検討(次の事実は〔証拠略〕によって認められる。)

(1) 本件ルートの経過地は、前記のとおりであるのに対し、想定ルートは、秋田中央インターチェンジから大平山パーキングエリアまでは同じルートを辿り、大平地区の荒巻集落及び優良農地を極力避けて、本件ルートより別れ、東側へ大きく曲りながら山側にルートをとり、山側では優良農地及び農業用溜池(小友沢溜池・猿田沢溜池)を避けて、山裾を南に進み、鵜木台遺跡を横断した後、鶴木台より橋梁構造で進み、北西側に大きく方向を変えて湯沢台に至り、湯沢台遺跡を横断して、日境寺と聖体奉仕会修道院の日本庭園(マリア庭園)との間を通過し、秋田養鶏所を避けて古城廻遺跡を極力避けた箇所に本件ルートと同様に休憩施設を設置した後、ルートを北側に大きく変え本件ルートと合流するルートである。

(2) 本件ルートの経過地は、添川集落の北西側端及び隣接する第一種住居専用地域である濁川地区の北東側端を通過し、これによって、移転を要する家屋等は、添川池区内住家九戸、非住家一棟であり、濁川地区で一戸であるが、原告らの住家は移転を要するものとされていない。なお、移転を要する家屋等は、全区間では住家一五戸、非住家八棟であり、事業認定申請時点では、住家一五戸、非住家四棟が移転ずみである。約六〇戸の添川地区のうち、本件道路の道路端から五〇メートル以内に約二〇戸(移転を要する家屋等を含む。)、道路端から一〇〇メートル以内に約三〇戸が所在し、その中には、授産施設明成園が含まれる。

これに対し、想定ルートは、添川地区の北東にある山側を通過するものであり、添川地区の住家移転及び住環境への影響は回避することができる。しかし、本件ルートも、添川及び濁川地区のそれぞれの分断を避けるため、添川同集落の北西側端、次いで濁川地区の北東側端との間を通過するように設定され、両地区の通過に際しては橋梁構造とすることによって道路建設に必要な用地を少なくするなど、両地区に対する影響を最小限にとどめるように配慮したルート設定及び構造となっている。

また、本件ルートは、添川地区周辺の鳥獣保護区を通過し、想定ルートはこれを避けることができるか、同保護区には、特別に保護すべき鳥獣は生育していない。

(3) 本件ルートは、最小平面曲線半径が一三〇〇メートルであるのに対して、想定ルートでは、同数値が一〇〇〇メートルと、曲線がややきつくなる。時速一〇〇キロメートルの場合の最小曲線半径の一般値が七〇〇メートルであるから、想定ルートの最小平面曲線半径でも、時速一〇〇キロメートルに対応できるといえるが、高速道路という道路の性質からは、できるだけ直線に近い線形をとるのが通行車両の安全の見地から望ましい。

(4) 想定ルートは、添川集落の北西に位置する日鏡寺及び聖体奉仕会修道院の近隣を通過し、同院所有の小羊の苑を分断し、秋田養鶏所の南端を通過する。日鏡寺の建立は昭和四八年、聖体奉仕会修道院の法人設立が昭和四四年、その修行所の建設は昭和六〇年である。想定ルートの具体的な設定において、秋田養鶏所の北側にある急傾斜地(一般に、急傾斜地は、難工事となり、道路完成後も崩落のおそれがあって、道路の維持管理上の問題が生じるという難点がある。)の位置関係から、右急傾斜地を避けながら、日鏡寺及び聖体奉仕会修道院、秋田養鶏所の各施設の通過を避けることや右各施設に十分に距離をおくことは困難である。これに対し、本件ルートは、右各施設等の近隣を通過しない。

また、本件ルートは、蟹子沢遺跡及び戸平川遺跡という縄文遺跡を通過するが、他方、想定ルートでも鶴木台Ⅰ遺跡、同Ⅱ遺跡、湯沢台Ⅳ遺跡の三遺跡を通過し、いずれのルートをとっても、遺跡を通過することは避けられない。本件ルートによると、埋蔵文化財分布面積は、一万九四〇〇平方メートル、想定ルートによると、二万四八九〇平方メートルである。

(5) 軟弱地盤は、沖積層(第四紀現世)のまだ固まっていない堆積物でできた沖積低地の特定地形(粘土、シルト、泥炭などが堆積するような環境で形成された地形)に分布する。

想定ルートは、段丘及び洪積届(沖積層より古い第四紀更新世の堅固な地盤)を主とする地盤を通過する距離が本件ルートよりもやや長いが、太田沢等四つの沢を通過する。沢の地盤は、沖積層の粘性土を主体とする軟弱層であり、道路に盛土すると地盤が沈下するおそれがあり、橋梁にすると基礎工が難工事となることが見込まれるが、想定ルートは、本件ルートよりも山地側にあり、沖積層の地盤を通過する距離自体は本件ルートよりもやや短い。

これに対し、本件ルートは、沖積層の地盤を通過する距離が想定ルートよりも長く、旭川を横断する部分では沖積層の砂質土を主体とする地盤が広がっているが、ここは、砂質土であっても、旭川上流からの粗い堆積物を含むために、高速道路建設に不適な軟弱地盤であるとは考えられていない。

(6)想定ルートは、山地側にルートが設定されているため、延長距離が本件ルートよりも約八〇〇メートル長くなることに伴い、事業費が増大する。加えて、想定ルートは、山側に入り山岳地及び台地等を通過するため、土盛の高さ及び切土の高さが本件ルートに比べ高くなり、そのため、切土の量、盛土の面積、切った面の処理の面積が増大し、その分工事費が増大することが見込まれる。

また、本件ルートにかかる鉄塔(送電線)が三基であるのに対し、想定ルートは、太平八田地区から鶴木台遺跡にかけて、送電線とほぼ並行する路線設定のため、合計一一基程度の鉄塔にかかり、想定ルートをとると、工事費及び移転費が増大することが想定される(原告らは、想定ルートにおいて鉄塔を避けるルート選定が可能であると主張するが、付近の地形、地質が必ずしも明確とはいえないうえ、高速道路においては緩やかな線形を確保することが望ましいことを考慮すると、原告らの右主張を認めることはできない。)。したがって、想定ルートをとることは、本件ルートよりも事業費が増大することが見込まれる。

(三)  以上のとおり、失われる土地の利益、遺跡等の社会的文化的価値、交通の安全性、工事の難易、事業費用等の社会的・技術的・経済的諸事情等を総合的に比較検討したとしても、本件ルートは、想定ルートと比較して特段劣っているということはできないから、不合理なルートであるということはできない。

4  生活環境等に及ぼす影響

本件事業による生活環境等に及ぼす影響は、法二〇条三号の要件の判断における比較衡量の対象である「得られるべき公共の利益」の減殺事由としての要因であるが、前記のとおり、評価報告書及び検討書の内容は不合理ではなく、予測数値としても一応の信憑性を認めることができるうえ、右予測値は、前記評価基準のA地域のうち二車線を有する道路に面する地域の環境保全目標という最も厳しい基準の範囲内にあり(〔証拠略〕によれば、本件高速道路については、さしあたり二車線の完成をもって供用を開始するものであることが認められる。)、生活環境等に対する影響が甚大となるおそれはない。また、報告書等では、本件事業の実施に際し、予測しえなかった著しい影響がみられる場合には、事業者及び地方公共団体等関係機関が相互に協力し、必要な調査を行い、適切な措置を講ずる旨を述べているところであり(〔証拠略〕)、事後的措置による環境保全対策も期待されるところである。

5  以上の本件事業計画の内容、本件事業によって得られる公共の利益、路線比較及び生活環境等に及ぼす影響についての諸事情を総合すれば、本件事業計画は、起業地の適正且つ合理的な利用に寄与するなどの法二〇条三号、四号の要件を充足し、被告建設大臣の本件事業認定の判断に裁量権の逸脱、濫用があったとはいえない。

五  争点4について

土地収用法の事業の認定と土地の収用又は使用の裁決とは、相結合して土地の収用又は使用という一つの法律効果を生じさせる一連の行為であるとみられるから、先行処分の事業認定の違法性は後行処分の土地収用裁決に承継されると解するが、前記のとおり本件事業認定に違法性はなく、他に本件土地収用裁決に違法事由はない。

六  結論

以上によれば、本件事業認定及び本件土地収用裁決は、いずれも適法というべきであり、右各処分の取消を求めている原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 片瀬敏寿 裁判官 坂本宗一 山下英久)

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